
前回の記事、「古代文明と教科書の嘘と失われた文明 PART1」の続きです。
ククテニ文化が「文明」と呼ばれていない理由を以下に箇条書きし、それに対する私見等を書いていきます。
1. 都市の発展がなかった:大規模な都市や都市国家のような集落が形成されていない。
これに対してはマイダネツやタリアンキなどの巨大遺跡の存在が挙げられます。


マイダネツには2つの集落があり、1つは2ヘクタールほどで紀元前5000年頃に人が居住していたとされるもの、もう1つは250ヘクタールほどの集落で紀元前 3700 年から 3600 年頃に人が住んでいたと考えられています。
ちなみに250ヘクタールは2,500,000平方メートルで、よく例えられる東京ドームの面積で換算すると約53個分(まったくイメージが湧かないけど)です。
東京ディズニーランドに例えると、約5個分でこちらの方がなんだか大きさとしてはイメージが湧きやすい。控えめに見積もっても12,000人以上はこの集落で暮らしていたようです。また、当時世界最大の大規模集落といわれています。
次にタリアンキについて。タリアンキは紀元前3850年から3700年頃の大規模な集落で広さは335~450ヘクタールとされています。
この集落の人口は15,000人程度と推測されることが多いようですが、2014年の調査によると15,600〜21,000人ほどの人口とされています。
そして、この遺跡の規模はシュメールの都市国家と同程度またはそれ以上の大きさがあり、半世紀以上も古いものです。シュメールはメソポタミア文明の一部であり、最古の都市文明・国家とも呼ばれています。
2. 階層的な社会構造が不明確:明確な支配者層や階層的な社会構造が確認されていない。
個人的には、支配者層や階層的な社会構造の有無が文明としての判断や認識される要因となっているということが疑問です。
支配者層の存在により社会統制が進み、法や秩序の維持に繋がる。階層的な社会構造により労働の分業や専門職の存在が確立され文明の発展に寄与するというのは分かりますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
現代社会にもエリートと呼ばれるような支配者層が存在し、階層的な社会構造で成り立っています。階層も経済的階層、教育的階層、職業階層、文化的・社会的階層、政治的階層など多岐に渡ります。
そして、階層的な社会構造には不平等の拡大、社会的流動性の低下、持続可能な発展の阻害などの問題があります。
インドを中心にカースト制度という社会的階層制度がありますがその中では、生まれながらにしてランクが決められ不可触民(ダリット)として社会的排除を受けたり、基本的な人権が奪われたりする人も一定数いるわけです。
話は戻りますが、ククテニは職業の多様性、居住地の配置、墓の平等性などの考古学的証拠から「平等主義」であったと推測されています。
その他にも、共同体を重視していたという精神性の違いもあります。この巨大集落の衰退に関しては、当初は平等主義であったが後の世帯間(住居の大きさ)の不平等が衰退に影響しているという説もあります。つまり階層的な社会構造は、共同体としての認識や意識を弱め、内部での対立や不満を助長するということも考えられるということです。といいますか、今の社会を見ても明らかだと思います。
トリピリヤの大規模集落 平等化の概念? Cambridge University Pressより出典
これに関連して、技術は進歩しているが人間の精神性は進化及び向上しているのか、また技術の進歩により失われたものは何なのかという内容で今後記事を書きたいと思います。
3. 文字や記録の欠如:文字や情報を記録するシステムが発見されていない。
これに関しては言語としての文字や記録システムが「見つかっていない」または「存在していないい」ことは事実ですが、2つ意見を書きたいと思います。
1つ目は文字とは何かについて、2つ目は文明・文化の破壊や喪失についてです。
先に2つ目の文明・文化の破壊や喪失についてを書いていきます。
文明・文化の破壊は、歴史の中でしばしば発生した出来事であり、支配者やその勢力が自らの政治的、宗教的、または文化的目的を達成するために行った行為です。これらの行為は、知識や文化の伝承を断ち切り、時に文明の進展を遅らせることもあります。
有害な器官クンダバファーの特性の諸結果やその特性が結晶化した人間は、相互破壊のプロセスを有しており……
つまり、人間は内在する獣性により殺し合いを歴史上繰り返してきたわけですが、その過程で文明や文化が破壊されたことが数えきれないほどあります。
ククテニは現在のルーマニア・モルドバ・ウクライナあたりで栄えたものです。
ウクライナでは現在も紛争が続いています。
トランプが大統領に勝利したことにより、彼の宣言通り変化があるかもしれませんが。


現在、紛争が実際に起きている地域とは重なってはいませんが、それでもククテニに近いなあと感じます。
もし遺跡が破壊されることがあれば文明や文化、その痕跡を追うすべを永遠に失ってしまうわけです。
それでは歴史的な文明・文化の破壊について、いくつかの重要な事例を見ていきたいと思います。
ChatGPTさんによる回答
中国の焚書坑儒(紀元前213年)
これはみんな大好きキングダムの政が行った政策ということになります。日本ではキングダムが実写映画化されて流行ったようですが見ていないです。
- 背景: 秦の始皇帝(始皇帝)は、中国統一後、国家の統一と中央集権的支配を確立するために「焚書坑儒」を行いました。これは、学者たちや儒教の経典を破壊し、思想の自由を制限することを目的とした政策でした。
- 焚書: 秦の始皇帝は、儒教などの思想が反乱を招く原因となると考え、儒教の経典やその他の学問書を大量に焼き払いました。特に、儒教の学問や歴史書が標的とされました。
- 坑儒: 儒教の学者を迫害し、儒学を弾圧するために、反対者や儒学者を生き埋めにするという極端な手段もとられました。この出来事は、中国文化の発展に大きな影響を与え、知識の自由が制限されたことから、歴史の中で悪名高いエピソードとなっています。
ローマ帝国のキリスト教弾圧(1世紀~4世紀)
- 背景: 初期のローマ帝国では、キリスト教徒は帝国の公式な宗教に反する信仰を持っていたため、しばしば迫害の対象となりました。
- 文化の破壊: 初期のキリスト教徒は、ローマ神殿や祭壇、古代の宗教書や芸術作品を破壊することを奨励されることもありました。特に、ローマ帝国でのキリスト教徒の迫害中に、古代の宗教的な記録や遺物が破壊されました。
- キリスト教の広がり: その後、コンスタンティヌス帝の時代にキリスト教が公認され、ローマ帝国の支配下では異教文化や信仰が排除され、キリスト教に基づく文化が主流になりました。この過程で、多くの異教徒の書物や祭りが消失しました。
モンゴル帝国による文化の破壊(13世紀)
- 背景: モンゴル帝国は、13世紀に世界中で急速に領土を拡大しました。その過程で、多くの都市や文明が征服され、文化的な破壊が行われました。
- バグダッドの陥落(1258年): イスラム世界の中心であったバグダッドは、モンゴル帝国によって攻撃され、アッバース朝の首都が壊滅的な打撃を受けました。図書館や学問的な遺産は、モンゴル軍によって焼き払われ、多くの書物や文化的遺産が失われました。
- 中央アジアの都市: サマルカンドなどの都市でも、モンゴル帝国の侵略によって、知識の中心地が破壊され、多くの学者や文化的な施設が失われました。
ナチス・ドイツによる文化破壊(1930年代~1940年代)
- 背景: ナチス政権は、政治的な支配とドイツ民族の優越性を主張し、ユダヤ人や共産主義者、障害者などを迫害しました。ナチスは、アーリア人種を「純粋な文化」として崇拝し、異なる文化や思想を排除しようとしました。
- 焚書: ナチスは、反体制的または「不純」と見なされる書物を大量に焚書しました。特に、ユダヤ人の著書や共産主義者の作品、または「反ドイツ的」とされた文学や哲学書がターゲットにされました。1933年にはベルリンで有名な焚書祭が行われ、多くの書物が焼かれました。
- 芸術と文化の弾圧: ナチス政権は、芸術や音楽などの文化活動にも厳しい制限を課し、アーリア文化を推進しました。そのため、表現の自由が制限され、多くの芸術家や思想家が亡命を余儀なくされました。
イラク戦争(2003年)における文化遺産の破壊
- 背景: 2003年、アメリカ合衆国主導のイラク戦争が勃発しました。戦争に伴い、バグダッド博物館などのイラクの文化遺産が大規模に破壊されました。
- 文化財の略奪: 戦争による混乱の中で、イラクの重要な考古学的遺産や美術品が盗まれ、バグダッド博物館では数千点の貴重な遺物が盗難にあいました。これにより、古代メソポタミア文明の多くの重要な遺産が失われました。
これらの例はごく一部のもので、他にもたくさん文明・文化の破壊というのは存在するわけです。
人為的な要因が引き金となって滅んだ古代文明の中には比較的年代が新しいものが2つあります。
年代順一覧でも挙げましたが、
・アステカ文明(紀元後14世紀〜1521年)
・インカ文明(紀元後1438年〜1533年)
の2つになります。
これらの古代文明はほぼ同時期に滅んでいますが、どちらもスペインの征服者の侵略が引き金となって滅亡しています。
特にアステカ帝国が滅んだ際の話にはドラマがあります。

かいつまんで書くと、アステカ帝国の皇帝モクテマス2世がいました。征服者のエルナン・コルテスはスペインからはるばる船でアステカ帝国に来ました。コルテスの目的は領土拡大、キリスト教の布教、そして富と名声でした。
そんなコルテスに皇帝は、初めて会った際には礼を尽くし、贈り物をしたり、歓迎の態度をとるなど、丁重におもてなしをしました。
その理由として、アステカではケツァルコアトル(羽毛のある蛇)という神を崇拝していることが関係していました。
ケツァルコアトルに纏わる神話や伝説はいくつかありましたがそのうちの一つに、「ケツァルコアトルが東の海から白い肌をした姿で戻る」とされる伝説がありました。
そして伝説で予言されたアステカ暦の年が、コルテスがアステカ帝国にたどり着いた、まさにその年だったのです。
そのため皇帝は、「コルテスが白い姿をして戻ったケツァルコアトルの化身である」と信じてしまったのです。
結果はどうなったかというと、コルテスはアステカの都テノチティトランに入ると皇帝を人質に取り、財宝や資源を略奪し始めました。
その後は神の使者だと信じられていたスペイン人兵士たちが、アステカの神殿で先住民の虐殺を行ったり…と話が続いていくわけです。
コルテスの裏切りというか欺瞞もありますが、この他にもう1つの大きな裏切りもありました。
それは原住民のラ・マリンチェという女性の裏切りです。
彼女は原住民でありながら、スペイン側の協力者としてコルテスのアステカ帝国征服に貢献したのでした。
古代文明の黄金の国とかロマンがありますよね。ワンピースの「黄金都市シャンドラ」も大好きです。
もっと詳細な話を読みたいという方は「古代アステカ王国: 征服された黄金の国 (中公新書 6)」増田 義郎 (著)がおすすめです!
1963年ととかなり古い本ですが、内容も面白くAmazonで新書が22円で買えます。
征服者はスペイン語でコンキスタドール(Conquistador)といい、主なコンキスタドールとしては以下の3人が挙げられます。
エルナン・コルテス
- 1519年にメキシコに上陸し、アステカ帝国(現在のメキシコ)を征服しました。アステカの皇帝モンテスマ2世を捕虜とし、1521年にはアステカ帝国を滅ぼして首都テノチティトランを制圧しました。これにより、メキシコはスペインの支配下に入りました。
フランシスコ・ピサロ
- 1532年にインカ帝国(現在のペルー)を征服しました。ピサロはインカの皇帝アタワルパを捕らえ、莫大な金銀の身代金を得ましたが、最終的にアタワルパを処刑し、インカ帝国を崩壊させました。この征服により、南米の広大な地域がスペインの支配下に置かれました。
バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア
- 1513年にパナマ地峡を横断し、ヨーロッパ人として初めて太平洋に到達しました。この探検により、スペインは太平洋側からの貿易や征服の可能性を見出しました。
昔のブログでも書いていましたが、このうち2人はワンピースの黒ひげ海賊団にアバロ・ピサロとバスコ・ショットとして名前が出てくるのになんでエルナン・コルテスだけでてこないのだろうと思っていました。コルテスの名前はHernán Cortés de Monroy y Pizarro Altamirano(エルナン・コルテス・デ・モンロイ・イ・ピサロ・アルタミラーノ)でピサロでdeでという話でした。
いま私はフランスに住んでいますが、フランス語で「de」は主な用法としては日本語で言うと「~の」に該当します。例えば「沢山の文字」であれば「beaucoup de lettres」あとは複数になるとdesとかを使ったりもします。
スペイン語は全くわからないので調べてみると、deは「~の」というのは共通しているようですが用法がもっと広いみたいです。所有・所属を示す、出所・由来を示す、材料・内容を示す、数量や範囲を表すなど。
ワンピースでのDは所有・所属や出所・由来の意味合いが強いと思います。
例を挙げると、一族や家系を表す場合や出身地を表す場合、あとは親子や師弟関係を表す場合など。
○○家の△△であれば、△△ de ○○となります。Monkey de Luffy であればルフィ家のモンキーになってしまうので、正しくはLuffy de Monkeyとなり、モンキー家またはモンキー一族のルフィとなるわけです。あとは上記した通り、出身地でも使うことができるので滅んだ王国や文明であれば、○○を王国にするだけで○○王国の△△として意味が成立するわけです。まあワンピースのDの意味はこれも昔のブログで書いた通り、他にも意味があるでしょうが。
これを書きながらの個人的な新しい発見は、マーシャルについて。
マーシャル・D・ティーチのマーシャル(Marcial)は由来がラテン語の「Martialis」にあるということ。
そして「Martialis」はローマ神話の戦争の神「マルス(Mars)」に由来するということ。
他には火星(Planet Mars)の由来でもあり、今後黒ひげは五老星(惑星由来)になるだろうなと思った。あとは能力3つだから、顔が3つあるケルべロスの能力者かと思っていたけど、海賊旗の骨8本、心臓3つでクラーケンなのかもしれない。タコタコの実 モデルクラーケン。書いていたらこの前タコ釣れたの思い出した。フランスの漫画事情についても書きたいな。

今回の記事はここまでにして、「古代文明と教科書の嘘と失われた文明 PART3」に続きます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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